桜蔭【理科】2022-ⅡA

問題

液体は、温度が変化すると同じ重さのまま体積が変化します。このことを利用して簡単な温度計を作ることができます。写真はガリレオ温度計と呼ばれ、ある液体中にいくつかのおもりを入れたものです。液体の体積が温度によって変化することから、中に入れたおもりの浮き沈みを観察することで温度を調べることができます。ここで図1のようにアルコールの一種であるエタノールを容器に注ぎ、そこにいろいろな重さのおもりを入れ、ガリレオ温度計を作ることを考えます。おもりは温度によって変化しない10㎤の容器に適量の砂を入れて密閉した図2のようなものをいくつか用意します。また、図3は、エタノールの100gの体積と温度の関係を表したグラフです。

問1 図1のガリレオ温度計内のエタノールの温度が43℃よりも高いか低いかを調べるためには、何gのおもりを用い入れば良いですか。また、エタノールの温度が43℃よりも高い時、このおもりは浮きますか、それとも沈みますか。

問2 問1で用意したおもりの他に、それよりも0.1gずつ重くしたものを4つ用意し、全部で5つのおもりをエタノールに入れました。エタノールがある温度になった時、5つのおもり

のうちの3つが浮き、2つが沈みました。この時のエタノールの温度は何℃だと考えられますか。

ア. 1℃  イ, 13℃ ウ, 26℃ エ, 36℃ オ, 48℃

情報整理・分析における思考の流れ

理科実験の問題です。巷にはたくさんの理科実験教室があります。「好きこそ物の上手なれ」とは言いますが、経験上、理科実験好きが理科が得意とは限りません。お金もたくさん払っているのに、なんて悲しいことでしょう。

そして“考える”ことが好きな子は、理科実験が好きで、理科が得意なんです。同じようで全然違います。

はたしてガリレオ温度計の実験をやったことがある子は、この問題を他の受験生よりも有利に解くことができたのでしょうか。その実験を通して、その原理について”考えた”子は有利だった可能性があります。しかし、もしその実験が何の試行錯誤も問題提起も原理に触れることもなく、ただ先生の言うことを聞いていれば成功を約束された実験だったとしたら、ほとんどの場合、その体験には論理的思考に対しての価値がないと断言できます。それでも理科実験教室に通うことが論理的思考に有効に働いていると思うのであれば、それは希望的観測なのかもしれません。理科実験は無条件に楽しい。楽しいからこそ論理的思考の世界へ誘いやすい。“考える”ことが約束された理科実験教室がこの世界に増えていくことを祈っています。弊社サイエンスシーズはそんな“考える”理科実験を目指して日々、カリキュラムを開発しています。

問1 図1のガリレオ温度計内のエタノールの温度が43℃よりも高いか低いかを調べるためには、何gのおもりを用い入れば良いですか。また、エタノールの温度が43℃よりも高い時、このおもりは浮きますか、それとも沈みますか。

グラフより43℃のエタノールの比重は100/130(g/㎤)で、温度が上がると体積(分母)が大きくなるので比重は小さくなっていきます。おもりの比重をエタノールと同じにすると温度変化によって液内の位置を変化させることができます。おもりの体積は10㎤なので、重さは約7.7.g(=10×100/130)

温度が上がるとエタノールの体積(分母)が大きくなるのでエタノールの比重は小さくなっていき、おもりは沈みます。

問2 問1で用意したおもりの他に、それよりも0.1gずつ重くしたものを4つ用意し、全部で5つのおもりをエタノールに入れました。エタノールがある温度になった時、5つのおもりのうちの3つが浮き、2つが沈みました。この時のエタノールの温度は何℃だと考えられますか。

ア. 1℃  イ, 13℃ ウ, 26℃ エ, 36℃ オ, 48℃

比重とは1㎤あたりの重さ。比重は温度が上がると小さくなります。よって図4は比重の比重を直接的に表しているグラフではないのです。既成概念を壊し、混乱を誘うイジワルな問題ですね。混乱すればするほど、妄想を排除するために情報を整理し、書き込んで考えるしかありません。

2つが沈んだので[7.7g 7.8g 7.9g 8.0g 8.1g]のうち[8.0g 8.1g]の2つが沈んだことがわかります。7.9gと8.0gの間にエタノールの比重があることがわかります。

このグラフを活用するためには、重さを100gに揃えるしかありません。それぞれの重さを100gに揃え、グラフにプロットし、体積を比較して考えます。

7.9gのおもりの体積は10㎤→100gあたり約126.6㎤(=10×100/7.9)
8.0gのおもりの体積は10㎤→100gあたり125㎤(=10×100/8)