”余り”問題2022ー開成・灘

問題〔開成【算数】2022-1(2)〕

次の計算結果を9で割ったときの余りを求めなさい。

1234567+2345671+3456712+4567123+5671234

問題〔灘【算数】2022(1日目)-4〕

7を10個かけてできる数 2x2x2x2x2x2x2x2x2x2 を17で割った余りは①です。また、2を2022個かけてできる数 2x2x……x2x2 を17で割った余りは②です。

問題〔灘【算数】2022(2日目)-2〕

箱Aには の3枚のカードが入っています。箱Bには の5枚のカードが入っています。2つの箱から一方を選び、次の【操作】を行います。
【操作】選んだ箱の中から1枚取り出し、カードに書かれた数字を確認してカードを箱の中に戻します。これを4回繰り返し、取り出した4つの数字を確認した順にアイウエとします。

そして、9桁の数字 8ア8イ8ウ8エ8 を作ります。

(1)箱Bを選んで【操作】を行います。そこで作られる9桁の数字 8ア8イ8ウ8エ8 が8の倍数になるカードの取り出し方は全部で何通りありますか。

(2)箱Aを選んで【操作】を行います。そこで作られる9桁の数字 8ア8イ8ウ8エ8 が3の倍数になるカードの取り出し方は全部で何通りありますか。

(3)箱Bを選んで【操作】を行います。そこで作られる9桁の数字 8ア8イ8ウ8エ8 が24の倍数になるカードの取り出し方は全部で何通りありますか。

情報整理・分析における思考の流れ

中学入試や算数オリンピックに頻出する”余り”問題。単元でいうと高校生が学ぶ数学Aの”合同式mod”です。小学生にとっては無理なんじゃないかと思われるかもしれませんが、実は小学生でも十分理解できる内容です。高校単元においても結局は割り算の余りが持つ算数の原理的な法則を体系的に述べ、数の取り扱いに対する1つの視点を提案しているにすぎません。フェルマーの小定理やオイラーの公式など、整数論の有名な定理の多くに登場します。

それでは合同式modについて少し紹介します。

合同式とは割り算の余りのみに注目した等式のことです。
7と4はどちらも3で割った余りが1です。これを,合同式では 7 ≡ 4 (mod 3) と書き、7合同4モッド3と読みます。7と4は3で割った余りのみに注目すれば同じという意味です。
aとbをnで割った余りが等しい。 → a ≡ b (mod n)

【合同式の性質①和】a≡b(mod n),c≡d(mod n)のとき、a+c≡b+d(mod n)
【合同式の性質②差】a≡b(mod n),c≡d(mod n)のとき、a-c≡b-d(mod n)
【合同式の性質③積】a≡b(mod n),c≡d(mod n)のとき、axc≡bxd(mod n)
【合同式の性質④商】axb≡axc(mod n),aとnが互いに素のとき、b≡c(mod n)
【合同式の性質⑤べき乗】a≡b(mod n)のとき、ak≡bk(mod n)
【合同式の性質⑥多項式】a≡b(mod n),f(a)が整数係数多項式のとき、f(a)≡f(b)(mod n)

もちろん、これを覚える必要などありません。中学入試や算数オリンピックの”余り”問題でよく利用される数の性質をいくつか紹介します。その性質は合同式の性質によって全て証明されます。

ある数の3で割ったときの余りは、各ケタの和を3で割ったときの余りと等しい(性質①)
(例)98765÷3=32921…2
9+8+7+6+5=35、35÷3=11…2

ある数の9で割ったときの余りは、各ケタの和を9で割ったときの余りと等しい(性質①)
(例)1234567÷9=1371741
1+2+3+4+5+6+7=28 28÷9=3…1

AxBをnで割ったときの余りは、(Aをnで割ったときの余り)x(Bをnで割ったときの余り)をnで割ったときの余りと等しい(性質③)
(例)327×978÷7=45686…4
327÷7=46…5、978÷7=13…5、5×5÷7=3…4

nで割ったときに余りが1に成る数をいくら掛け合わせても、その数をnで割ったときの余りは1である。(性質③)
(例)7÷3=2…1、77=823543、823543÷3=274514…1

2022年中学入試に登場した”余り”問題をいくつか見てみましょう。

次の計算結果を9で割ったときの余りを求めなさい。1234567+2345671+3456712+4567123+5671234

1234567を9で割ったときの余りは1+2+3+4+5+6+7を9で割ったときの余りと等しい。また、その他の234561など4つの項も各ケタの和が等しいので、全項において、9で割ったときの余りが等しい。
(1+2+3+4+5+6+7)÷9=3…1、1×5=5

2を10個かけてできる数 2x2x2x2x2x2x2x2x2x2 を17で割った余りは①です。また、2を2022個かけてできる数 2x2x……x2x2 を17で割った余りは②です。

210=1024、1024÷17=60…4←①
このまま進めるのは少し煩雑そうなので、もう少し進めて余り1を探しましょう
220を17で割ったときの余りは4×4=16
240を17で割ったときの余りは16×16=256、256÷17=15…1←あった!
22022=240を50回と220と22を掛け合わせたものなので
22022を17で割ったときの余りは(1x1x1x…x1)x16x4=64、64÷17=3…13←②

<①を利用しない場合 >
(17で割ったときの余り)を原点から順番に調べていきます。余り1を探しましょう。。
21=2(2)、22=4(4)、23=8(8)、24=16(16)、25=32(15)
26=64(13)、27=128(7)、28=256(1)、29=512(2)、210=1024(4)
22022=28を252回と26を掛け合わせたものなので
22022を17で割ったときの余りは(1x1x1x…x1)x13=13←②

やはり情報整理、分析でなんとかなりますね。

箱Aには の3枚のカードが入っています。箱Bには の5枚のカードが入っています。2つの箱から一方を選び、次の【操作】を行います。
【操作】選んだ箱の中から1枚取り出し、カードに書かれた数字を確認してカードを箱の中に戻します。これを4回繰り返し、取り出した4つの数字を確認した順にアイウエとします。

そして、9桁の数字 8ア8イ8ウ8エ8 を作ります。

(1)箱Bを選んで【操作】を行います。そこで作られる9桁の数字 8ア8イ8ウ8エ8 が8の倍数になるカードの取り出し方は全部で何通りありますか。

(2)箱Aを選んで【操作】を行います。そこで作られる9桁の数字 8ア8イ8ウ8エ8 が3の倍数になるカードの取り出し方は全部で何通りありますか。

(3)箱Bを選んで【操作】を行います。そこで作られる9桁の数字 8ア8イ8ウ8エ8 が24の倍数になるカードの取り出し方は全部で何通りありますか。

(1)8の倍数は下3ケタが8の倍数なので、ア、イ、ウに入る数は何でもよく、エに入れることができる数は0,4の2通り。5x5x5x2=250通り

(2)3の倍数は各ケタの和が3の倍数なので、各ケタの和(8+ア+8+イ+8+ウ+8+エ+8=40+ア+イ+ウ+エ)を3で割ったときの”余り”は0。40÷3=13…1なので、ア+イ+ウ+エを3で割ったときの”余り”が2になればよい。
<場合分け>
ア+イ+ウ+エ=2のとき→(0,0,1,1)(0,0,0,2)の並び替え4×3÷2+4=10通り
ア+イ+ウ+エ=5のとき→(0,1,2,2)(1,1,1,2)の並び替え4×3+4=16通り
ア+イ+ウ+エ=8のとき→(2,2,2,2)1通り
10+16+1=27通り

(3)24の倍数は各ケタの和が3の倍数であり、下3ケタが8の倍数なので、ア+イ+ウ+エを3で割ったときの”余り”が2でありエが0,4の2通り。
場合分けすると
エ=0のときア+イ+ウ=2,5,8,11
エ=4のときア+イ+ウ=1,4,7,10
と8つの場合についてそれぞれ考えなくてはいけない。

しかし、”余り”に注目すると0,3→0、1,4→1、2→2
エ=0のときア+イ+ウ=2,5(“余り”の合計)
エ=4のときア+イ+ウ=1,4(“余り”の合計)
と4つの場合で考えることができるようになる。

エ=0、ア+イ+ウ=2のとき→(0,1,1)(0,0,2)の並び替え3x2x2x2+3x2x2x1=36通り
エ=0、ア+イ+ウ=5のとき→(1,2,2)の並び替え3x2x1x1=6通り
エ=4、ア+イ+ウ=1のとき→(0,0,1)の並び替え3x2x2x2=24通り
エ=4、ア+イ+ウ=4のとき→(0,2,2)(1,1,2)の並び替え3x2x1x1+3x2x2x1=18通り
36+6+24+18=84通り

難関校入学試験になればなるほど、「3や9の倍数」についての問題は”余り”の性質を利用した方が効率よくできることが多々あります。この問題を何度もやれば、身につくのかというとそうとも限りません。数の性質にかかわらず、あらゆる分野、そして日常生活においても、効率化を追い求める姿勢やマインドを持つことが重要なのではないでしょうか。当然のことながら、先生・保護者においては、目前の障害に対してハシゴをかけすぎてしまうと子どもたちからその成長のチャンスを奪うことになります。

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