「次に出たら正解するための間違い直し」を楽しくさせるための親と先生の役割

子どもたちの人生の一端を担う責任を持つ、学習塾、家庭教師、科学実験教室。これまでの20年間。そこでの講義、運営を通して、価値のある教育とは何なのか、日々考え、試行錯誤し、2021年2月、やっと自信を持って、私、サイエンスシーズ代表 三木英司の指導理念をみなさまにお伝えすることができます。

本稿には、〇〇学習法などの新しい発想はどこにもなく、当たり前のことしか書いてありません。予測不能な未来を生きる宿命を背負った子どもたちの考える時間の最大化するための「次に出たら正解するための間違い直し」に関する考察です。”大人”の部分を”保護者”や”先生”と置き換えて読んでください。

前提〜間違えた問題をできるようにする〜

勉強とは何か。受験のための勉強を念頭に置いた場合、それは求められることをできるようにすること。では、そのための適切な方法は何か。それは、求められることのうち、自分にできないことを特定してできるようにしていくというもの。受験勉強においては入試問題をはじめとする様々な問題が存在し、そこでは、問題を間違えることで、できないことが特定できます。

勉強とは、間違えた問題をできるようにすること。そのためには、間違えた問題が次に出されたときには正解するような「直し」、すなわち「次に出たら正解するための間違い直し」をしていかなければなりません。しかし「直し」を嫌がる子どもは多いです。一方で「直し」を嫌がらない子どももいることは確か。

逆算すると「できないことをできるように試行錯誤することは当たり前」というマインドを持っているかが、非常に重要な要素だと考えられます。それは「できないことをできるように試行錯誤することは当たり前」である世界で生きているか、周りの”大人”がそれを善とし、その逆を善としないかどうかに関わっているのです。この世界で生きることを「大人扱い」と呼ぶのかもしれません。

① 初めて知る

「間違い直し」についての考察なので、本題は問題を解いた後。しかし、そもそも問題を初めて解くときの正答率を上げることができれば「直し」の負担は、もちろん軽減されると考えられます。

そのためには、ある事柄を初めて知るという体験の質を上げればよいのです。つまり、初めてのことを教える”大人”が楽しそうに教え、子どもにそれを面白そうと思わせる。なぜなら、それを面白いと感じた時に深く知ろうと思うからです。何かを覚えるということは、それについて深く知ることと同義であり、それを伴わない短期記憶は、脳内からすぐに消えてしまいます。

この「楽しく知る」ことに対して、お金を払う価値があると言えます。もちろんこれは間違えた問題をできるようにするための序章に過ぎません。

子どもにある事柄を「面白い」と思わせられたら、次はそれを深く知ることに誘導するため、子どもが発する疑問に答えるのが望ましいです。その時に、”大人”の側が答えを知らない疑問や「なんで?」に直面することもあると思いますが、そうなったら、子どもと一緒に考えたり、調べたりすればよいのです。それによって、「できないことをできるように試行錯誤する」とはどういうことかを、身をもって教えることもできるのです。

② 問題を解く

ある事柄を知った後、子どもはそれを前提とした問題を解き、それに丸付けがなされます。この段階でもいくつか注意点があります。

第一に、丸付けを安易に子どもに一任しないこと。なぜなら、「直し」を子どもに求めるとき、子どもの側には「適当な丸付けをして作業量を減らそう」という動機が存在するからです。
子どもが「直し」は当然であり苦ではないという認識に至っていないうちは、”大人”が丸付けをする、あるいは子どもの丸付けを確認することが求められます。丸付けの結果、正解できたものについては、少なくともここでは「直し」の必要はありません。
「少なくとも」という留保をつけたのは、勉強をしていれば同じ問題や類題を解く機会が与えられ、時間が経って忘れたことで間違えるということは自然に起こるからです。

第二に、問題を解くのに制限時間を設けるということ。なぜなら、入学試験の構造が、時間的制約の中で得点を最大化することが求められるというものになっているからです。

第三に、事実を見逃さないための作法を身につけておくこと。「事実を見逃す」とは、ここでは問題文の読み飛ばしや問われていることの誤認、与えられていない条件を勝手に付け加えることなどを指し、「作法」は問題文中の使用する条件や選択肢の根拠となる部分に印をつけるといった一連の作業を指します。

経験上、ミスのほとんどが、事実を見逃し妄想してしまうことによって起こります。この「作法」を身につけようとする過程の中で「事実に基づいて考えることは当たり前」というマインドが手に入ります。その結果、「本当は出来る(解答に必要な知識等は既に持っていた)にもかかわらず発生する間違い」を減らし、「直し」が必要な「出来ないこと」を効率良く特定することができるようになります。

③-1 間違い直し〜分析編〜

本稿の本題「間違い直し」に入ります。手順としては、まず、子どもが問題の解説を読むことになるので、当然、問題集や塾のテキストは、解説が豊富なものを選ぶことをお勧めします。

子どもが解説を読んで「理解できた」場合でも、次に出たら正解するのに必要な水準・間違えた原因の分析に達しているかを”大人”が確認することは不可欠です。到達していない場合は、本質的には理解していないことを”大人”が伝えなくてはいけません。なぜなら、間違えた問題の解説を読んで、わかったつもりになって、同じ問題が出て、できなかった時、子どもたちは自分の能力のせいにしてしまうことがあるからです。もちろん、そのせいではありません。そもそも「自分が理解した」と思えるハードルが低すぎるのです。

子どもが解説を読んでも「理解できない」場合、”大人”に質問することになります。ここで、“大人”は子どもの間違いがどのレベルで起きているのかを特定しつつ、解説しなければなりません。子どもの理解度を確認せずに”大人”が解説を始めても、”大人”と子どもが、お互いに、いや、どちらかというと”大人”側が気持ちよくなるだけで、次に出たらできるようになっていないことが少なくありません。そして、「教えたのに!」と、怒ってしまう理不尽な”大人”をたくさん見てきました。子どもの質問に対応する”大人”の資質において、質問との向き合い方は、間違えた問題をできるようになるかを決定付ける、重要な要素と言えます。

間違いの原因分析のレベルについては、言わずもがな、大人になればなるほど上がっていきます。だからこそ、最初のうちは子どもと一緒に問題文などに示された情報を整理していきます。「事実を見逃していないか」「計算ミスなのか」「そもそも、何も知らないのか」など、間違いの原因分析は、”大人”と一緒にやるべきであり、“大人”とともに考える時間こそ、子どもにとっては”大人”の論理性を手に入れる機会そのものなのです。もちろん楽しそうに分析することをお勧めします。

この原因分析においては、間違えた問題をできるようになる精度を上げるため、ある程度の正確性を要求されます。難易度が高い問題に関しては、その比ではありません。したがって、自分ができないと確信できる知見に対しては、お金を払う価値があると言えます

これを繰り返していくことにより、本当にできない、つまり「情報整理をし終えても答えが出せない問題」だけに関する意味のある質問の割合が増えていきます。そして、”大人”は、子どもが間違えた事柄について深く知ろうと思えるように、改めて説明することになります。

③-2 間違い直し〜検証のための準備編〜

基本的には、以上の繰り返しです。しかし、間違えた問題をできるようにすることが勉強の本質であり重要だとすれば、もう一つ動作を追加すべきです。それは、忘れることを前提に、時間が経ってからその問題が解けるかを検証すること。同じ問題を解いて、正解にならなければ、”大人”はもちろん、子どもたち自身も次に出たらできる。と確信を持つことができません。

子どもの考える時間を奪う作業は極力、”大人”がやる。ここでは、子どもが考える時間を最大化するという観点に立ち、考察します。

ノートに解き直すデメリット

間違った問題を集積し、間違えた問題をノートに解き直します。問題に線や情報が書き込まれている場合、全て消す。この作業が大変。しかし、次に出たらできるかの検証としては、最初に解いた時と同じ状況でできることが望ましいのは明らか。もちろん、この作業を子どもにやらせたくはありません。

事実を見逃さない作法として、問題文などに印をつけたり、書き込んで考えることはとても素晴らしいことです。間違えた問題を解き直す時に、ノートに解き直すことで、常に直接、問題文等に書きこめないのなら、入試本番のやり方からは離れている環境といえます。

コピーで解き直すメリット

間違った問題を集積し、間違えた問題をコピーすることになります。問題に線や情報が書き込まれている場合、消してコピー。ノートを作る場合は切り貼り。この作業が大変面倒臭い。しかし、次に出たらできるかの検証としては、最初に解いた時と同じ状況でできることが望ましいのは明らか。もちろん、この作業を子どもにやらせたくはありません。

事実を見逃さない作法として、問題文などに印をつけたり、書き込んで考えることはとてもいいこと。書き込む前に全ての問題のコピーやデータをとっておくか、コピー用のもう1冊があると望ましいです。コピーで解き直すことで、常に直接、問題文等に書き込めるので、入試本番のやり方に近い環境といえます。

類似した話として、塾に通っている子どもが毎日大量に持って帰ってくるプリントの整理があります。これもある程度は子ども自身ですべきことかもしれませんが、これも量が膨大なので、”大人”がやるべき場合もあります。

「次に出たら正解するための間違い直し」を楽しくさせる

現在巷間には様々な勉強法が溢れています。それらが本稿と前提を共有しているかはさておき、特定の状況に置かれた人が試行錯誤した結果なのです。だとすれば、他人の試行錯誤をそのまま実践して効果が見込めるかは、明らかではありません。それを信じるための情報が、あまりにも少なすぎるのです。

「楽しく知ること」も「学習する環境」も「間違い直しの準備」も「正確な原因分析」も「それを楽しめる心」「できないことをできるように試行錯誤すること、事実に基づいて考えることは当たり前」というマインドも、周りの”大人”の行動、評価次第です。行動する”大人”とは誰なのでしょうか。”保護者”ですか?”先生”ですか?少なくとも、それを決めるのは”保護者”であることに違いはありません

「次に出たら正解するための間違い直し」を楽しくさせるためには、それぞれの”大人”が試行錯誤していくことが必要です。そして、本稿がその試行錯誤の一助となれば幸いでございます。

失敗を恐れず、自ら調べ、自ら考え、行動しつづける。それを楽しめる。そんな大人になってほしい。

サイエンスシーズ 三木 英司

弊社サイエンスシーズは「予測不能な未来を生きる子供たちの考える時間を最大化する」をコンセプトに

【失敗を恐れずミッションにチャレンジし試行錯誤を楽しみながら学ぶ教室】ロボット科学教室「パズロボ」のフランチャイズ展開

【実験の事実から真理を追究することを楽しむ講座】“考える”理科実験講座

【失敗から始まる試行錯誤を楽しむ講座】教育ブロックIQ KEY”ロボット講座

・サイエンスシーズ採用教材。組み立てるだけじゃない!教育ブロックIQ KEYの販売

を実施しています。今後、講座や教室でお会いすることもあるかもしれません。その時は、もちろん全力で指導させていただきます。よろしくお願いいたします。
また、現在、家庭教師の依頼は紹介のみで受託していますので、個人の直接のお問い合わせはお控えくださいませ。